初めて飲み屋さんで働いたのは19歳になりたての頃。福岡の歓楽街、中洲でした。
中洲大通りから一本裏通りのクレドールというホストクラブ。ホストクラブといっても今のシャレオツなホストではなく、音楽やバンドに合わせてジルバやチャチャチャやチークなどを踊る飲み屋。
そのお店は、風俗店にお勤めの嬢が多く来店していました。
私の生まれ育った長崎には当時風俗店が存在していなかったので、こんなに風俗嬢は世の中にいるのか!と驚愕しました。
そんなことはどうでもよくて、私は中洲を手始めに札幌ススキノや新宿歌舞伎町、大阪北新地と水商売を渡り歩きました。
今では集客だ広告だと行っていますが、水商売は今でもとてもとてもアナログです。なぜならほとんどの店が広告を出していません。
30年前も今も広告出稿をしない業界
簡単にいうと、飲み屋さんの新規集客は全て既存客や友人知人の紹介。チラシも撒きませんし、SEO対策もしません。インターネット広告なんてもってのほかww
仕組みで言うと、新規の来店チャンスは、⑴すでにお客さんになっている人とご来店 ⑵他店から移って来たホステスさんのお客さん ⑶友人知人の口コミや紹介 ⑷義理で来ている同業・業者・縁故
だから、年若きホステスさんがお礼の電話・お礼ラインを一生懸命やるんですよ。みなさんもライン攻撃を受けたことが一度や二度や三度はあることでしょう。
昔は会社訪問といって常連客の会社に菓子折りを持って行ってたんですよ。なので電話番号やラインの交換に必死になるのです。←右肩上がりの時代は経営者はなんでもありだったんですよねー
ここにしか客数を増やすチャンスがないので最初からしっかりびっちり教育される。18、19歳の娘も待機時間はひたすらライン。。。バブル期のテレアポのように、既読無視でもお構い無しの攻撃力。
我々の仕事でもこれぐらいお礼や連絡方法の獲得に力を入れると(意識だけでも)リピート増えると思う。飲み屋以外でこれぐらいの積極性で連絡先交換をガツガツくるとこはない。。。居酒屋で店員さんにライン聞いてもよかですか〜と言われたことがありません。素晴らしいが毎日ラインされるとウザい。しかし、次どこ行こうか?というタイミングで入ったラインに反応してしまうのがお客さんなのです!
そのタイミングで店に行ってしまうと仲良くなってしまうのが人間なんですよねー。
と考えるとAIが活躍している平成最後のこの時代に紹介口コミだけで戦う飲み屋の経営の難しさと深さと潔さは、古き良き時代のコミュニケーションセールス。
この紹介や口コミにかけるノウハウは歴史があり詰まっている業界は飲み屋がぶっちぎりの先頭を走っています。学ぶ価値は大ありです。なぜなら、地域対面ビジネスの私たちに絶対に必要で広告より強いものは紹介口コミですから!
社長、たまには勉強のため繁盛店へ繰り出してみましょう。
女性が接客する店のシステムは色々あります。業態が変わればシステムが変わるので働き方が変わります。システムに沿った戦略を持つことはどんな業界でも必要ですので、それぞれの仕組みをお伝えいたします。
それでは高級クラブの例から行きましょう。飲み屋のジャンルによって仕組みが変わります。クラブには永久口座制と言うシステムがあります。
お客さんに連れられて初めて来た人は業界用語で枝と呼ばれます。連れて来た人は誰かの口座(ホステス担当者の名前)と呼ばれます。
一度担当口座を決めると、そのホステスさん以上に気に入った人ができて指名替えをしても売り上げマージンは最初に担当になった人に入り続けます。
なので、ホステスさん(ホストも)は、誰かの口座に気に入られてもしょうがないので枝を狙いに行きます。枝の人の連絡先を手に入れて、あの手この手で来店を即し、来店前に絶対に連絡してねと伝え、めでたく来店の連絡をもらうと、マネージャーに急いで報告に行きます。
そうすると指名するしない関係なく指名が勝手につき永久口座が決定します。なので、クラブには、ママやチーママが沢山いてチームを作っています。最初は、通称ヘルプからキャリアがスタートして、ママ口座のお客さんの枝の人の獲得に励みます。
枝の方が次回、一人または主導で来店するとヘルプ嬢の口座となります(ママが口座を奪う場合もあります)
ヘルプから始まり、枝の人を獲得し続けるとホステスさんの給料体系が変わり始めます。ママにも営業が必要なのがクラブなのです。口座のお客さんに付けるホステスさんを決めるのはママ(マネージャー)だからです。
ただし、現在はこの永久口座は高級クラブだけになっています。それはメリットとデメリットがあるから。メリットは古株でお客さんをたくさん持っている人が辞めない。
しかしデメリットは力をつけたホステスが口座持ちばかりに気に入られてもマージンが入らず、お客さんを連れて他店に移る。そしてそんなホステスさんにスカウトが接近する。
当然、お客さんにはメリットが一切ない。。。そしてホステスとホステスに挟まれて店に行きにくくなる。
そんな時代に、活躍しているのがキャバクラやニュークラブと言われる形態。
こちらは口座制では無く完全実力の世界になります。指名替えが横行する下克上の世界。クラブはチーム戦の要素がありますがキャバ嬢はは一人で戦います。北新地にも月収1,000万円を超えるキャバ嬢がおります!
ここでよく勘違いしている方が多いのが、見た目がいい女・いい男がナンバーワンになると言う勘違い。私が知っている店でナンバーワンを張っている9割はその店の見た目ナンバーワンでは無かったです。
私が中洲で働いていた時の各店のナンバーワンはブサイク8割でしたよ。歌舞伎町の店のナンバー1は男前の優男でしたけれど。。。札幌の店のナンバーワンは、、、忘れた。
記憶に残るNo. 1は歌が上手くて聞き上手な人。猿みたいな顔。決して面白いわけではなかったんですが面白い雰囲気の人でした。
夜の男性が接客するビジネスは、バー・ナイト・ホスト・サパー・ボーイズバーなどと呼ばれます。
私が仕事したのはナイトというジャンルでした。
お客さんのお客さんをしっかり接客する!
ナイトというジャンルは夜10時ごろオープンしてメインタイムが深夜1時〜4時です。基本はホステスさんが遊び慣れた社長さんやお客さんとアフターで使うお店がナイトです。ホストにはお客さんを連れて行きにくいですよね。
流行っているナイトは男のお客さん率が高いのです。ナイトにアフターで来るお客さんは時間とお金が割と自由になる社長さんや経営幹部や開業医や何屋かわからない謎な人wwがよく通います。
この男性をつかむことがナイトでは重要になります。なぜなら女性は色恋が進まないと来なくなりますが男性は違うホステスさんを取っ替え引っ替え連れて来ます。
そのホステスさんもアフターで使ってくれます。そしてまたその男性が違う店のホステスさんを連れて来ます。なぜならナイト遊びをするお客さんが行く店は1店舗ではないからです。
なので、必然的にナイトでナンバーワンになるには男性のお客さんを掴むことが重要なんです。男のお客さんに気に入られるとホステスさんを紹介されます。
紹介のホステスさんとは一見さんより仲が良くなりやすいです。そして仲が良くなったホステスさんもアフターがあれば食事に行くか飲みに行くしかないです。もう喋るの疲れたという人はバーではなくナイトに行きます。
この連鎖を天然でノーロジックでやっている店は潰れ、しっかりと戦略をスタッフに伝えている店は繁盛するだけです。
しっかりと戦略をスタッフに伝えている店は、男性のお客さんを大切にするぞとなんども言います。これを伝えない店は、お客さんをそっちのけでホステスをスキあらば口説きますw
これは絶対にお客さんに伝わります。特に新規のお客さん。ここで2人のお客を失うことになります。
その男性のお客さんは2度と来店しません。連れて来たホステスはお客さんが怒ってしまったのでもう2度とお客さんを連れて来ません。そして本人ももう来ないかもしれません。これは仮説ですが真実です。
ホステスさんの願いは、お客さんに喜んでもらってまた自分の店に来て欲しい。または、もう喋り疲れたからあんたらが楽しませて。あーなんでもいいから楽しみたい。
男のお客さんは、ホステスと楽しみたい、その応援をしてもらいたい、飲ませたい、やりたいwwなどなど
※男性スタッフのためにお客さんを送客するホステスさんは省きます。
しっかりとニーズをくみ取り、2名のお客さんを満足させるために、踊り・歌い・飲んで・語り合うと2名のお客さんが起点となり輪が広がって行く。
水商売にはここしか新規集客・単価アップ・来店頻度・紹介の道がないですが、ここを外さない店は予約してもなかなか入れない繁盛店になります。
バロメーターは同業者が全国から見学に来る店です。私の事業も同業者が見にくるプロ中のプロを目指しております。
まとめ:我々のビジネスも同じでお客様のニーズをくみ取り解決するだけですが、そのニーズの【汲み取りレベル】が自己満足なんです。細かいニーズは多種多様です。まずは理解に徹しましょう。同業他社の誰よりも理解に徹しましょう。お客様の身近な人より理解に徹しましょう。
飲み屋の客数アップに施策は紹介と口コミしかない、私たちもそれぐらいの覚悟で接客を考えるとまた違った未来が描けるのではないのでしょうか。
ナンバーワンの接客は多種多様ですが、今回は長くなったので次回。